15日の朝、高知は氷点下まで冷え込み、一部では雪も降ったらしい。
肩口にこぼれた薄桃に春の終わりを感じたいつかの花降りの日のように、
冬がその最後のひとひらを、弥生の雪に変えてふりそそいだのかな。
弥生雪の便りに、ほろほろと落ちかかるように散っていたいつかの桜を思う。
その、同じ3月15日の午後。高知市に桜の開花宣言。
桜が咲きました。
高知の標木は高知城三の丸のソメイヨシノ、5輪の開花で開花宣言。
片手いっぱいの花で春が告げられて、
だけどまだまだ冬支度のからだは、寒さに震える春待ち人で。
そうして、花が両手を溢れて開くころ、
ひとつずつ上着のボタンをはずす指先はもう
その先端に雨の季節の先触れを感じとっているのだろうな。
季節はいつも指先から訪れて、
それがその手を溢れるころにはもう指先は次の季節に触れている。
3月15日、開花宣言の日、その夜は寒い夜になりました。
明けて16日の明け方、気付いたら雨が降っていた。
雨と風は次第に強さを増して、15時をまわる今、外は春の嵐。
海にほど近く、ゆうゆうと流れる部屋の前の川も
今は風を受けて横に流れています。
かんかんだんだん、北風と太陽、
重なり合って渦を巻くふたつの季節の攻防に目を見張り、
今朝はハル、今宵はフユ、といったりきたり。
明日はどっちかな。
そうして横向きに流れる川の風にそよぐ水面は、
いつか見た6月の、風を受けて光る、たんぼの姿に
よく似ていた。